
「ワインとアテを、ラフに楽しんで」 イタリア仕込みの店主が提供する、唯一無二の空間とは

Streets magazine 編集部
2024年2月24日
ラフに、ワインとそのアテを楽しむ空間
細長い造りの店内に、カウンター席が7つ。席に着くと、目の前には数々のワインと、綺麗に磨かれたワイングラスがずらりと並ぶ。
ここは、大分市中央町にある『a te(アテ)』。イタリア語で『あなたに』を意味する『アテ』と、お酒の『アテ』という言葉を掛け合わせた、その名の通り、美味しいワインとイタリア料理を楽しめるお店だ。
元々この場所は10年間、ワインとイタリア料理を提供する『BAR PONTE』という人気店だった。そこの店長だった五十嵐諭さんが、"焼酎文化がある大分で、ワインの美味しさももっと広めたい”という想いを引き継ぎつつ、リニューアルするという形で、2023年に『a te』をオープンさせた。
「ワインと、それに合う気の利いたおつまみを提供する。ラフに楽しんでもらえるお店、というのを目指しています。」
食通だけが通ったり、ワインについて深く語り合う、という場所にはしたくないという。お店に置いているワインは、五十嵐さんが美味しいと思うもの、そして自身が作る料理に合うもの、だそう。"気軽にワインとそのアテを”というのが、このお店のコンセプトだ。

店主の五十嵐諭さん 本場で料理とワインの修業も
「イタリア人が大分に来たらどんな料理を作るだろう?」その土地土地の良さや味を生かす
五十嵐さんは東京でイタリアンの修業をし、本場イタリアでも3年間、料理とワインの勉強をした経験がある。イタリアに行って実感したのは、イタリアンとひとことに言っても、その土地土地ならではの料理があるということ。その気づきは今も大切にしていて、お店作りにも影響を与えている。
「大分でわざわざ、イタリアでやっていたことをそのままやる必要はないと思っています。現地から高いお金を出して材料を何もかも取り寄せて、お客さんにも高いお金をいただいて・・・そうではなくて、『イタリア人が大分に来たら多分こういうことをやるんじゃないかな?』と考えて、土地に合った料理を作りたいんです。」

『あて3種盛り』600円
五十嵐流イタリアンには、定番メニューと日ごとに替わるものがあるが、お客さんの8割がまず注文するというのが『あて3種盛り』。メニューの中から好きな品を3種類選ぶことができるもので、どれももちろん、お店のワインにピッタリだそう。
横のつながりが心地よいお店に
お客さんの年齢層は高めで常連客も多いそうだが、五十嵐さんは若い世代にも気軽にお店を訪れてほしいと話し、価格についてもそれを意識して設定しているという。
そして、お客さんに対する想いはもう一つあった。
「お客様同士で楽しんでいただきたいという気持ちが強いです。静かに楽しむのももちろんいいのですが、ぜひ横のお客さんとのつながりも楽しんでほしいですね。」
カウンター7席のみ、という特徴もあり、その日たまたまお店で出会った知らない人お客さん同士が会話を交わすシーンも多く見られるという。
「外から見たら、グループで来た人達が楽しんでいるように見えるかも」というが、実はおひとりさま同士が仲良く話している、なんてこともあるそうだ。ゆるやかなつながりがその場に誕生する、という点もこのお店の特徴。五十嵐さんは「むしろ、おひとりでいらしてみてほしい」と歓迎する。
話を聞けば、フラッとひとり訪れたくなるような『a te』。
「気軽にワインとアテを楽しんでください。」と微笑む五十嵐さんのお店で、素敵な時間を過ごしてみてはいかがだろうか。