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新旧の『嫁』が守り続ける味 豚出汁✖醤油の大人気“東北ラーメン”
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Streets magazine 編集部
2024年2月1日
店名も気になる『嫁のあと』とは?
大分市府内町、大分県庁のすぐそばにある『中華そば 嫁のあと』。2022年の3月にオープンし、大分では珍しい“東北ラーメン”がいただけるということで人気のお店だ。
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『中華そば 嫁のあと』 花柄ののれんが可愛らしい
ラーメンの味もさることながら、まず気になるのがその店名。「・・・???」気になって店の前に立ち止まる人も多いという。
実はこの場所は、『嫁のあと』がオープンする前、『嫁の中華そば』という名前のラーメン屋さんだった。多くのメディアにも取り上げられる大人気店だったが、2022年2月に、大分市中鶴崎に移転。ここは、そのあとを継いだお店なので『嫁のあと』なのだ。
オーナーを務めるのは、田﨑恵美さん。元々は『嫁の中華そば』を手伝っていたスタッフの一人だ。移転に伴い閉店する、ということを店主から聞き、残念がって惜しんでいたところ「じゃあ、ここでお店をやってくれない?!」と誘われた。大好きな味と店。だから思い切って決断し、現在に至るという。
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前店は『嫁の中華そば』というラーメン屋さん
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『嫁のあと』オーナーの田﨑恵美さん 人気の味を引き継ぐことに
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店を継ぐことになった経緯が描かれた漫画も
「『嫁のあと』をオープンした時のことです。店にできた行列を見て、足が震えました。お客さんが多かった人気店を引き継ぐというのがプレッシャーで。最初の1か月くらいは、毎日お腹が痛かったかな。」田﨑さんは笑いながら当時を振り返ってくれたが、自身も愛した『嫁の中華そば』を絶やすまいと、頑張ってきた。
守り続ける味と店
前店舗も、新店舗も、中の様子は変えていない。そしてもちろん、ラーメンの味もだ。前店『嫁の中華そば』では、東北出身の夫のためにと店主が開発した、豚のスープと醤油を合わせた東北ラーメンと(だから前店も店名に“嫁”がついていたらしい!)、大分県民の舌に合うようにと鶏・魚介を醤油と合わせたラーメンを提供していた。
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『嫁の中華そば』時代からほとんど変えていないという『嫁のあと』の店内
「麺、スープ、チャーシューは、移転先の店舗からこちらにに持ってきてもらいます。だから、味は変わってません。“美味しさそのまま”を守るために、その運び方も試行錯誤しました。」(田﨑さん)
このほか塩ラーメンや、冷たいざるラーメンも提供しているというが、一番人気は前述の東北ラーメン『旦那の推しメン』だという。田﨑さんも大好きな味で、守り続けたいと奮起させられた味でもある。
前店舗と違うところも 『嫁のあと』オリジナル
店内には、ラーメン屋さんには珍しい、お酒がたくさん並んだ冷蔵庫があった。実は田﨑さんは『嫁のあと』隣にある『田崎洋酒店』に嫁いだ身で、そこから持ってきているお酒らしい。クラフトビールのほか、日本酒もワインも、ノンアルコールも置いてある。
「言ってくれたらなんでも横から持ってきますよ(笑)」(田﨑さん)
また焼き餃子と水餃子も、新店舗オリジナルで提供し始めた。お酒と一緒に味わう人もいるという。新たな魅力が追加されて、店はパワーアップした。
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珍しいお酒も 大正12年創業の『田崎洋酒店』から
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餃子はこの店舗のオリジナルメニューだ
女性一人でも入りやすい店づくり 多くの人に知ってもらいたい東北の味
新旧いずれの“嫁たち”にも共通する想いが、女性一人でも入りやすい店づくりをしたい、ということ。従業員は全て女性だといい、華やかな活気がある。店内には花やカラフルな壁画。そうそう、店に入るときに見たのれんだって、素敵だった。
実際お店には、ビジネスマンだけでなく、女性客、子供や年配の人など、幅広いお客さんが訪れているという。常連さんやリピーターも多いそうだ。
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大きくカラフルに描かれた壁画
「前の店の味を崩さないように、忠実に、美味しいラーメンを提供し続けたい。愛情たっぷりのラーメンを真心をこめて作るので、お楽しみいただきたいです。」
これからも田﨑さんは、物語の続きを紡ぎ続ける。