三世代で通う常連客も!今治の老舗「かねと食堂」が愛され続ける秘密
#今治市内の美味しいグルメ特集
Streets magazine 編集部
2024年10月8日
今治市の中心部に佇む懐かしの食堂「かねと食堂」。創業は明治時代で、なんと130年以上の間、地元の人々に愛され続けてきた老舗店だ。
現在の店主である6代目の桑原大貴さんは、2年前に店を引き継いだばかりだそうで、今は奥さんと夫婦二人三脚でお店を切り盛りしている。
お店を継いだ際、かねと食堂の営業継続を喜ぶ声は多かったんだそう。「後継者不足などで店を畳む老舗店も多い中、やってくれてよかったっていう風に、声かけていただいたことは本当に励みになりましたね」と桑原さんは語る。
6代目の桑原大貴さん(左)
昭和の風情漂う店内、懐かしさに包まれる空間
店内に一歩足を踏み入れると、高い天井と昔ながらの造りが目を引く。現在の建物は昭和28年頃に建て直されたもので、当時の雰囲気をそのまま残している。
「元々本当古い建物なんで、もう雰囲気がもう出来上がってしまっているところはあるんですけど」と桑原さん。しかし、ただ古いだけではない。「店内は綺麗になるようにというか。そこだけは意識して、まあ営業しているかなっていう感じですね」元来の味のある雰囲気を崩さず、季節に合わせた小物もお店の雰囲気作りに一躍買っている。
変わらぬ味、愛される続けるメニューの秘訣
店内には、うどん、そば、丼ぶり、カレーなど種類豊富なメニューがずらり。「やっぱりこれしか食べないというか、これが好きっていうお客さんもおったりするんで、皆さんの要望に応えるためにはメニューを減らせないなと思って」と語る桑原さんの言葉には、お客様一人一人の期待に応えたいという思いがうかがえる。
中でも、注文の多いメニューは、「オムライス」と「中華そば」だという。どちらも先代から受け継いだレシピを守り、作り続けている。
オムライスは、卵一枚でくるっと巻いた昔ながらの巻き方が特徴。「シンプルなオムライスが少なくなってきているので、うちのものを好んで食べてくれる人は多いかな」と桑原さん。スプーンですくうと、煮込んだ玉ねぎと鶏肉を炒めて入れているケチャップライスが詰まっており、一口食べると懐かしさと共に幸せな気持ちが広がる。
中華そばは、鶏ガラスープにうどんだしを加えた独特の味わいが人気だ。「あんまりよそにはない甘めの味かなとは思いますね」と桑原さん。スープは透明感があり、鶏の旨味がしっかりと感じられる一方で、うどんだしの風味が後を引く。近所の製麺所で仕入れているという麺は細めでスープとよく絡み、シンプルながらも深い味わいが楽しめる。
密かな名物メニュー「カツライス」と「ハムエッグ」
かねと食堂のメニューの中で密かに人気なのが、オリジナルメニューの「カツライス」だ。見た目はカツカレーのようだが、カツの上にかかっているのはなんとデミグラスソース。タレは甘辛く、カツの旨味を引き立てる絶妙な味わいである。ライスとの相性も抜群で、一度食べるとやみつきになること間違いなしで、この味を求めてお店に来るファンも多い。
朝食やお昼時には「ハムエッグ」も人気だ。ハムは程よい塩味が効いており、卵は半熟でとろりとした黄身が特徴。「昔からの常連さんには特に人気があります。シンプルだけど、どこか懐かしい味がするんですよね」と桑原さんは語る。お店は朝8時からオープンしているため、観光で訪れたお客さんが、朝ごはんとして食べにくる人も多いんだそう。
三世代にわたる常連客、地域に根付いた食堂の魅力
120年以上もの間、この地でお店を続けてきた「かねと食堂」。長年通い続ける常連客も多いそうで「50年、70年の常連さんとか、そんな方もいます」と桑原さん。中には三世代で来店する家族もいるという。
「おばあちゃんとお母さんと娘さんと3人で来てくれたりとか、そういう人らもね、います」この言葉からは、かねと食堂が単なる飲食店ではなく、地域の人々の思い出や歴史が詰まった大切な場所であることが伝わってくる。
「まあ本当にね、美味しいものを提供できたらええなというか。それで美味しかったよっていう風にね、一人一人に喜んでもらえるのが嬉しいな。」と語る桑原さん。その言葉には、先代から受け継いだ味を守りつつ、新しい世代にも愛される店づくりへの想いが込められている。
かねと食堂はこれからも地域に寄り添い、人々の記憶に残る味を提供し続けていく。昔ながらの雰囲気と変わらぬ味わいを求めて、ぜひ一度足を運んでみてはいかがだろうか。