100年の歴史を持つ「吹揚みすか団子」 今もなお進化を続ける伝統の味
#今治市内の美味しいグルメ特集
Streets magazine 編集部
2024年10月8日
明治時代から今治城の城郭内の茶店で親しまれてきたという名物「吹揚みすか団子」。100年以上経った現在も、今治城を見上げる場所でテイクアウト形式で販売を続けている。
素朴でシンプルな美味しさ:吹揚みすか団子の魅力
吹揚みすか団子の特徴は、中がお餅で外がこしあんという素朴な組み合わせ。代々受け継がれる製法で、形や味、作り方は代々変わっていない。白あんと小豆あんの2色展開で、サラッと口どけの良い餡と、もちもちとした杵つき餅が特徴である。
お餅には佐賀県の「肥沃もち米」、あんこには北海道産の小豆を使用。「肥沃もち米があんことの相性が一番良い」と代表の林さんは語る。製造過程では、あんこの水分調整や甘さの加減が非常に繊細で、レシピだけでは作れない職人技が必要とされるんだそう。
地元の声に応えて:伝統を守り続ける決意
4年ほど前、当時お店を経営していた3代目のご主人が亡くなり、店舗は一時休業。娘の林美紀さんは、東京で仕事をしていたため、愛媛での商売は難しいと考えていたが、「頑張って続けてもらいたい」「古いものを絶やすのは残念」という地元の声に背中を押され、2年半前に会社を法人化し、東京と愛媛、二拠点で店を存続させる決意を固めた。
「製造を委託し、遠隔で経営するという新たな形で店を存続させています。先祖代々受け継がれてきたこの和菓子の良さを多くの方に知っていただけることを目指します。」と語る林さんの言葉には、伝統を守り抜こうとする強い意志が感じられる。
冷凍技術で全国へ:作りたての味を届ける工夫
コロナ禍後、ビジネススタイルが大きく変容したことを機に、林さんは「吹揚みすか団子」の冷凍販売を開始。最新の冷凍設備を利用することで、保存料を加えることなく、作りたての味を楽しめるようになった。「常温で約2時間自然解凍していただくと、作りたてのようなみずみずしさが再現できます」と林さんは語る。
現在、吹揚みすか団子は今治城だけでなく、今治市内のスーパー「ファンタブルキッチン」、「四村ショッパーズ」、「来島海峡サービスエリア」などでも販売されるように。オンラインショップでの注文も可能となり、全国の人々が楽しめるようになった。
オンラインショップ https://misukadango.theshop.jp/
新たな挑戦:新商品の開発と未来の展望
現在、今治城城郭内の茶店での販売は、繁忙期を除いて、週末のみのオープンとなっているが、今治城での販売継続を喜ぶ地元の方も多いんだそう。
「ご年配の方が訪れてくださった時に、昔の味そのままだったよって言ってもらえるんです」と林さんは嬉しそうに語る。
今後は、お茶を飲みながらゆっくりできるスペースの設置や、地元の農産物を使った新商品の開発も検討中とのこと。「愛媛県の名産であるお茶を使って、抹茶味を加えたりするのもいいかもしれません」と林さんは新たな挑戦にも意欲的だ。
明治時代から受け継がれてきた素朴な味わいと、時代に合わせた新しい取り組み。両方を大切にしながら進化を続ける「吹揚みすか団子」は、これからも多くの人々に愛され続けることだろう。
<公式ホームページ> https://misukadango.theshop.jp/